読書日記

しがない元・情報大学院生女子、現・企業研究者の日記

てのひらの迷路/石田衣良

てのひらの迷路 (講談社文庫)

てのひらの迷路 (講談社文庫)


石田衣良の作品を真面目に読むのは久しぶりだった。約束とスローグッドバイは読んだみたいだ。だいぶと昔で記憶になかった。4TEENとか手には取ったことはあるけど中学生物だと気付いた瞬間棚に戻してしまった。重松清『ナイフ』以来ちょっと中学生がわらわら何かする話はあまり読まなくなった。ナイフがなかなかえげついいじめの話だからかな。

 2年間にわたってどこかの雑誌に連載された24の掌編を収録している。
母を亡くした経験からできた掌編から始まる(ナンバーズ)。エッセイがありの小説がありのこの一冊はバラエティーに富んでいる。そして最後には作者のものとの別れの経験を書いた掌編で終わる(さよなら さよなら さよなら)。バラバラだけど、なぜかまとまりがある、割と好きな文庫だった。
 "オリンピックの人"という掌編がお気に入りです。四年ごとに主人公は人生の岐路に立ち、もがいてるときに、たまたま会う人がいる。
  人生というと大きく大層に聞こえるけど、実際振り返ってみると、自分が大変なときは4年ごとくらいで起きているような気がする。これから先もそうなのでしょう。やだな。